クルマをオフローダーたらしめるのは車高やホイールはもちろん、間違いなくタイヤも重要であると言い切れる。タフネスが要求される過酷な路面に食らいつくブロックこそ、オフローダーの証だから。実際に走ることはなくても、このゴツゴツとしたトレッドを獲得することがタフな足元作りの第一歩だ。
オフロード向けタイヤは大きく、マッドテレーンとオールテレーンの二種類に分けられる。テレーンとは“地形”という意味で、それぞれマッド=泥、オール=すべてに対応する。「マッドテレーンは、オフロードを走るための割り切った仕様なので、オンロードでの静粛性や燃費などは一般的なサマータイヤよりも劣ります。オールテレーンはそれよりもオンロード性能に振った仕様で、最近ではデューラーA/T001のように省燃費性能を持ったモデルも登場しています」とタイヤショップ4Uの加藤店長。
肝心の履きこなし方だが、オフロード向けタイヤの場合、60扁平以上のハイトが高いモデルが多い。そこでタイヤ外径をアップさせるか、インチダウンするのが定番。それを踏まえて、タイヤをオフロード化する際のワークフローは以下の通り。①まず履きたい銘柄を決める。②次に、その中に履けるサイズがあるのかを探す。リフトアップが必要な場合は、どれくらい上げるのかも決める。③最後にタイヤのサイズに合うホイールを選ぶ。加藤店長曰く、国産のオフロード向けホイールであれば装着されるタイヤサイズを想定したサイズ設定になっているので、フェンダーからの突出はまず心配ないそうだ。オバフェンが必要なのはサイドウォールのはみ出しを防ぐ、というのが主な理由だ。ただ車両の個体差など、机上の数字だけでは判断できない場合があるのも事実。確実に履きこなすのであれば、プロに実車をチェックしてもらい、相談して決めることが大切だ。
加藤店長のオススメ銘柄は、マッドスター・ラジアルM/T。元々は海外で販売されていたモデルだが、国内で展開されるのは国産車向けに設定されたオリジナルサイズ。ターゲットを想定し、純正ホイールをそのまま使えるので、煩わしいサイズ選びが不要なのが特徴だ。
TIRE●マッドスター・ラジアルM/T(215/65-16)
WHEEL SIZE● 16×7.0+38
柔らかな路面を掻くように突き進むマッドテレーン。これこそオフロードタイヤを履くことの醍醐味だ。もちろんトレッドやサイドウォールの視覚的アピール力も見逃せない。
ブロックと呼ばれる、独立したゴムの塊が敷き詰めれたパターンとなっており、ノーマルタイヤでは滑ってしまうような悪路でも、確実なトラクションを生み出す。またノーマルタイヤと異なり、パターンがショルダーまで伸びているのも特徴。岩などにぶつかっても平気なほど頑丈で、トレッドが路面を捉えきれない場合でも、小石に接触したショルダー部がトラクションを発生させる。
MUD STAR マッドスター
ラジアルM/T
サイズ想定車種
165/65-14 ハスラー
165/60-15 ハスラー
195/65-15 C27セレナ、80ヴォクシー/ノア
205/60-16 ジューク
215/60-16 ヴェゼル
サイズ想定車種
215/70-16 デリカD:5
225/60-17 60ハリアー
195/80-15 ハイエース
215/65-16 ハイエース
215/60-17 ハイエース
深い溝はM/Tタイヤならでは。ラジアルM/Tは、コの字型のパターンを採用。小石や泥を噛み込み、トラクションを向上させる。
ブロックに刻まれた小さな溝が、舗装面を走る際にブロックをたわませ静粛性を向上させる。
溝底のバーもラジアルM/Tの特徴。小石の挟み込みを防ぐなどセルフクリーニングをする。
走行可能なシーンもサイドウォールに表記。M+Sなら泥と雪。スタッドレスと異なり氷上性能のことではないので注意。
メーカー名やブランド名表記を白く塗装したホワイトレター。新品は表面に保護剤が塗ってあるので、中性洗剤などで洗い落とす。外側にしかないので、間違って反対に組むと文字は隠れてしまう。
一般的なタイヤ幅(mm)×扁平率表記のほかに外径から始まる表記も覚えておこう。単位はインチなので注意。LTは4ナンバーで車検を取る際に必要。